本イベントは予約にて完売となりました。
「KANGEKI 間隙」vol.21
■上映作品:『宵醒飛行』(1990年/67分)8mm上映
■開催日時:2022年9月17日(土)
19:15開場|19:45開映(21:45終了予定)
ゲストトーク:稲川方人(詩人/編集者)、荻野洋一(映画批評家)
■料金:2000円(ポレポレ坐特製ワンドリンク付き料金)
■定員:50
※全フロア使用のため
■予約
イベント名、氏名、人数、参加日を記入し、kangekispace@gmail.comまでお知らせください。後日、担当・小原(オハラ)より確認の返信をさせていただき、予約完了となります。
※当日券はポレポレ東中野の窓口にて、朝の開館時間(9:40)より販売となります。
※予約で満席になれば当日券の販売もございません。
電話でのお問い合わせ:03-3227-1445(ポレポレ坐)
かつて、21世紀の映画作家として待望された、若き才能がいました。鷲見剛一の残した監督作は、21歳で撮ったこの『宵醒飛行』一本だけです。つまり、それほどまでにこの8㎜映画は、当時輝いて受け止められたのです。彼が逝って、すでに13回忌となる今、未だ見ぬ才能を偲んで、酒をあおりたいと思います。 (七里圭)
カイエ・デュ・シネマ・ジャポン 2号(刊行1991年)掲載
特集「2001年の映画作家」 稲川方人氏の批評文より
8ミリで撮った鷲見剛一の『宵醒飛行』を最初に見たとき、僕はすぐに席を立って友人の席に走った。いいよね、すごくいいよねとパープリンに口走った。ほんとにいいんだ、この二十歳の処女作。映画の青春期が映画の終末期に突然訪れてしまったような、場違いな時代を途方に暮れるような、手にした石をどこにも投げられず、でもやる瀬ない憤懣を持て余すような、そんな感じ。神代辰巳であり、若松孝二であり、新宿で遊んで、夜明けに帰っていく七一、二年の中央沿線、阿佐ヶ谷、高円寺のあの感じ。全共闘世代などと噓っ八な名前で呼ばれてホンワカしている団塊の世代のアホが、ジャームッシュだ、村上春樹だとコマーシャルしている間に、すっかりお株を奪われてしまったわけよ。気持ちがいいものだ。東京湾岸あたりで、買ってきた花火を手にして気だるそうに走り、そこにレピッシュの「イージンサン」が流れて。南新宿の小田急の踏切りで、わけの分からない空虚に呆然と立ち止まってしまうロングショットや、高円寺の駅前の噴水で、三輪車を乗り回して、そして水に入ってふざける夜のシーン。中野の駅に停まっている総武線の車両をブレた手持ちカメラが走り抜け、あるいは、東西線の中で、「今日はおれの部屋に泊まるか」とぼんやり言う、そんな荒い粒子のシーンのひとつひとつが胸を刺すように懐かしく、だが一瞬たりとも退行的な精神に屈することなく、悪意と悲しすぎる優しさとで、ふたりの男とひとりの女という物語のルーティンを、それがどうしたというふうに、かまわず撮り切ってしまう。死んだように眠ってしまった女の子を背負い、雑踏の中、浅草花屋敷までスローモーションでたどりつく眼の醒めるような最後のシーン、そこに流れるストーンズの「コックサッカー・ブルース」。そして観覧車のまばゆい光をいつまでも見つめて。そう、それから、赤い傘をさした女の子が口ずさむ平山三紀の「真夏の出来事」。『宵醒飛行』は、浅田彰が登場し、高橋源一郎がスターとなり、「スイッチ」が読まれるよりはるか以前に新しかった映画、そして誰も新しくなくなった九十年代に、誰よりも新しくなった映画なのだ。
協力:鷲見三恵子 石川亮
【お客様へのガイドライン】
当イベントでは、新型コロナウィルス感染防止と共に、お客様に少しでも安心してご鑑賞していただけるための環境づくりに努めてまいります。
そのため、下記ガイドラインへのご理解・ご協力の程、よろしくお願いします。
・ご来場時にはマスクを着用して下さい。※マスクを着用していないお客様には受付にてマスクをご購入していただきます。
・入場口にアルコール消毒液を設置しておりますので、ご利用ください。
・咳や発熱、その他体調に不安のある方はご来場をお控え下さい。
・従業員や登壇者もマスクの着用を義務付けております。
・場内でのお食事はお控え下さい。お飲み物はご利用していただけますが、容器の問い扱い等、周囲のお客様には充分ご配慮下さい。(ドリンクはカフェでも注文できます)