メニュー 閉じる

【完売】2023.8.6 「KANGEKI 間隙」vol.25 役者・西山真来の終わりなき冒険。『ミーマイシーオーソレーション』『手と心が一致していない』連続上映。ゲスト:金川晋吾(写真家)

本イベントは予約にて完売となりました。


2023.8.6 「KANGEKI 間隙」vol.25
役者・西山真来の終わりなき冒険。『ミーマイシーオーソレーション』『手と心が一致していない』連続上映。
ゲスト:金川晋吾(写真家)


■開催日時
2023年8月6日(日)
18:30開場|19:00開映 (21:00終了予定)※途中休憩あり

■上映作品
『ミーマイシーオーソレーション』(2017/48min)
オーディオコメンタリー上映:西山真来(監督)×小原治(KANGEKI主宰)

『手と心が一致していない』(2023/25min)
ゲストトーク:西山真来(監督)×金川晋吾(写真家)

■料金:1800円
■定員:30


■予約
氏名、人数、参加日を記入し、kangekispace@gmail.comまでお知らせください。担当・小原(オハラ)より確認の返信をさせていただき、予約完了となります。※予約で満席になれば当日券の販売もございません。
電話でのお問い合わせ:03-3227-1445(ポレポレ坐)


【作品紹介】
『ミーマイシーオーソレーション』(2017/48min)


監督・編集:西山真来
出演:吉田祐(hyslom)、西山真来ほか
俳優の西山は20代、他人を演じるとは?はたまた自分とは?などと日々考えていた。ある日、物語の設定だけ決めてその状況で何日か過ごすという実験をしようと思い立ち、hyslomというアーティストグループの吉田祐さんに相手役をお願いする。その上演を記録するためにカメラを回し始めたが、アーティスト×俳優というそれぞれ違う方法でフィクションに携わってきた二人の対話は全く嚙み合わず…。

 

『手と心が一致していない』(2023/25min)


監督・編集:西山真来
出演:西山真来、安藤真理、三間旭浩、近藤強ほか
脚本:弥重早希子 製作:Drunken Bird
不倫相手が交通事故で死んだことを知った女は、動揺する。事故の直前、一緒にいたのは自分だ、と気づいた女は、自分の存在がばれるのではないかと動揺する。しかし実際には、誰も自分の存在に気がつかなかった。不幸中の幸いー。なはずなのだが、女の心はざわついてくる。なぜ、誰も自分に気づかないのかー。女は自分の存在を証明するため、危行に出る。
城戸賞受賞後、映画やTVで活躍する脚本家、弥重早希子×俳優の西山真来初監督×「カウンセラー」のDrunken Bird製作。


西山真来さんの監督作品『手と心が一致していない』(25分)が完成しました。タイトルが示す通り、身体と内面の奇妙な関係がドラマに織り込まれています。普段は役に自分を合わせる側の西山さんが、今度は監督の側からこのような視点を作品に織り込んだことに興味を持つ人は多いのではないでしょうか。

西山さんはこれまでも「人が役を演じること」についてひたむきな好奇心で向き合ってきました。私がなぜそんなことを言えるかというと、ある記録映像を見たからです。『ミーマイシーオーソレーション』(48分)と題されたその映像は、演技することの喜び、おかしさ、葛藤などを西山さんが心と体で感じながら、その先にあるものをつかもうとした実験の記録です。演技について共に議論し、実際に演技し合うパートナーをヒスロムの吉田祐さんが務めていますが、結局2人の意見や解釈は最後まで嚙み合わないまま、映像も終わります。

今回の「KANGEKI 間隙」は西山さんがこの『ミーマイシーオーソレーション』を上映してみたい!と言ってくれたのがきっかけでした。そのメールにはこうも続きました。「今見返すと、問題意識は今と繋がっているところもあるけど、別人のように自分に共感できなかったです。この距離感をオーディオコメンタリー上映ありかなぁと思いました。あとなに言ってるかわかんないとこの説明しつつ」

面白いと思いました。あらゆる映画は過去の記録だからこそ、それを見ることで揺さぶられる現在進行形の今があります。「過去」と「今」のこうした関係に西山さんの中に起きた揺れをオーディオコメンタリーに乗せていけたら…。加えて、ご自身も言っているように、観客の前で上映するには「説明」が必要になる作品です。音声やテロップも鮮明とは言えず、そのまま上映しても画面の中の出来事は観客には伝わりません。「西山さん、その部分をオーディオコメンタリーで補完できるか実際試してみましょうか」「西山さん、このシーンではこういう話をした方が伝わるのでは」「西山さん、多分それお客さん分かんないですよ」…テストをした結果、私がオーディオコメンタリーの相手役を仰せつかることに。(笑)どひゃー。ということですので、何かを伝えようとする赤ちゃんの声に耳を傾けるような温かさで、この画面を一緒に楽しく囲んで下さったら嬉しいです!

上映するには厳しい状態の作品に何かしらの手を施し、「観客ありき」の作品へと状況を変えていく。画面と観客のコミュニケーションに新たな形を持ち込む今回の試みは「KANGEKI 間隙」でやってみたいことの一つでした。そして、西山さんの演技についての思索『ミーマイシーオーソレーション』を経て監督最新作『手と心が一致していない』を見ると、画面の中の役者たちに向ける私たちの目にも変化が起こり、彼らが共に作り上げる「映画」という世界の実相を一層謎めいたものとして受け取る体験になるのではないか。それが今回のもう一つの試みです。(KANGEKI主宰 小原治)

追伸:西山さんによる今回の上映ステートメントが言葉で整理されたテキストではなく、メモ書きのような図面であることもまた、「らしさ」が出ている気がしました。西山さん曰く「こっちの方が伝わる気がする」

【プロフィール】

西山真来(にしやま・まき)


俳優。神戸大学発達科学部で感性科学と油絵を専攻。京都の劇団「象、鯨。」を主宰。解散後、木村文洋監督「へばの」に主演し以後映画を中心に活動。近作に山﨑樹一郎監督「やまぶき」、黒川幸則監督「にわのすなば」、酒井善三監督「カウンセラー」、清水崇監督「ミンナのウタ」など。

 

金川晋吾(かながわ・しんご)


写真家。1981年京都府生まれ。神戸大学発達科学部卒業。 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。2016年『father』(青幻舎)、2021年『犬たちの状態』(太田靖久との共著、フィルムアート社)、2023年『長い間』(ナナルイ)、『いなくなっていない父』(晶文社)、『集合、解散!』(植本一子、滝口悠生との共著)を刊行。また現在、長崎のカトリック文化や平和祈念像、自身の信仰をテーマにした『祈りと長崎(仮)』(書肆九十九)を刊行に向けて準備中。近年の主な展覧会、2018年「長い間」横浜市民ギャラリーあざみ野、2022年「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」森美術館など