本イベントは予約にて完売となりました。
2023.7.24 「KANGEKI 間隙」vol.24
黒住尚生presents 『END ROLL』『愛をたむけるよ』2本立て上映会
■開催日時
2023年7月24日(月)
18:30開場|19:00開映 (21:30終了予定)※途中休憩あり
■上映作品
福島慎太監督『END ROLL』(2020年/74分)
団塚唯我監督『愛をたむけるよ』(2020年/29分)
ゲストトーク:黒住尚生×福島慎太×団塚唯我
■料金:1800円
■定員:25名
■予約
氏名、人数、参加日を記入し、kangekispace@gmail.comまでお知らせください。担当・小原(オハラ)より確認の返信をさせていただき、予約完了となります。※予約で満席になれば当日券の販売もございません。
電話でのお問い合わせ:03-3227-1445(ポレポレ坐)
【作品紹介】
『END ROLL』(2020年/74分)
卒業を控えた学生4人組の優太、優太と付き合っている麻衣、香織、大輔。そんな中、大学を辞めて地元へ戻っていた直樹が現れる。かつて演劇サークルで大学生活を共にした3人(優太、麻衣、大輔)との再会と香織との出会い。麻衣の誕生日会で集まったすれ違い続ける5人の一夜。
監督:福島慎太
出演:黒住尚生、安田茉央、山﨑南、小泉翔太、萠未
予告 https://www.youtube.com/watch?v=jj3jT-XTy5s
『愛をたむけるよ』(2020年/29分)
幼少期に母を亡くした兄弟は、2人きりのひっそりとした生活を送っていた。兄の祐介はある夜、菜月と出会い、惹かれていく。一方、弟の章大は期せずして菜月の秘密を知ってしまう。
監督・脚本・編集 団塚唯我
撮影 瀬尾憲司|照明 西野正浩|録音 三村一馬|助監督 大西諒
キャスト 金澤卓哉、鶴田理紗、団塚唯我
予告 https://vimeo.com/357389686
今回のプレゼンターは俳優の黒住尚生さんです。この2本を上映したい理由を黒住さんに聞いた時、画面の中と外の両方に身を置く俳優ならではの映画の捉え方があることを、彼の言葉に織り込まれた作品への敬意を通して感じました。
俳優による上映企画は、観客が映画の魅力をより多面的に受け取る機会になるでしょう。黒住さんの話を聞き、今回の2作品を見て、今後もこのような機会が増えたらいいなと思いました。(KANGEKI主宰 小原治)
『END ROLL』『愛をたむけるよ』上映会について 黒住尚生
普段は俳優部の 1 人として映画に関わっている僕が、この2 作品を上映し観てもらいたいと今回手を挙げました。
出演した福島慎太の監督作「END ROLL」は撮影が4 年前で
初監督で長編映画を作ろうと思っていると声を掛けられ、福島は良い友達ではあるが、いい映画になるのか、どんな撮影現場になるのか正直な所不安に思っていました。
しかし撮影前に公園などに集まって読み合わせを行い、皆で台詞を覚えていく 時間をもうけ、現場に入る前に出来る限り、それぞれが独りで抱える不安を共 同作業を重ねる事で緩和していった。
そんな対話の時間を出演者達と共有して、現場ではカメラという異物をそこまで意識する事なく、皆で撮影に臨めたと思います。
悲しい話だが映画の現場で、この様な丁寧な準備が出来る環境は少ない。 初監督にして「カメラで人を映す事」についての自らの考えを現場で実行しただ けでも凄いが、僕は福島が考える「他者と関わる事、対話する事」について作品だけではなく、作る過程でも多くの事を福島に気付かされました。
そして、団塚唯我の「愛をたむけるよ」については
当時この作品のオーディションに参加し、その場で初めて団塚と出会い、その時はスケジュールの都合で映画には関わる事が出来ませんでした。
その作品を2020 年のなら国際映画祭で観る事になるんですが、過去の出来事(残された者、残った物に対しての執着、居なくなった者に対しての分からなさ)に対して映画で向き合おうとする団塚の真摯さが作品に映っていて、自分にも通じる感覚が映画の中に流れていて、作品に関われなかった事を客席で後悔した事を覚えています。
その後、映画祭期間中に団塚と色んな話をして親交を深め、東京に戻ってか ら、団塚に福島を紹介しました。
それは2 人の、同年代の初監督した映画を通じて、世界観は互いに違えど、 言葉を通じて他人と自分と向き合おうとする2 人に出会って欲しいと思ったか らです。
両者の作品に共通する部分として
夜の孤独(例え1人だとしても、誰かと居たとしても)、静けさが映っている。 そして他者と出会った時、好きな物を尋ねて、好きな物についての話をする。 それらは他人の事も自分の事すらも分からないという寂しさと同時に、
「分からない」からと自ら遠ざけるのではなく、分からなさを抱えながらも、好き な事柄を糸口に自分と他者を知ろうとする事をやめない。対話から生まれる何かを信じ、疑っている。そんな矛盾を孕んでいる気がします。
その対話によって、他人が自分の事の様に感じ、近くなったり、分からないという事を知って、遠くなったりして、自分と他者とが近づいたり遠ざかったりを繰り 返す。
また理不尽に時間は過ぎて、出来事は目の前を通り過ぎ、そこにあった輪郭達はぼやけていく。そのぼやけた輪郭をまた言葉によって確かめていく。
それは暗闇の中、客席でスクリーンを見つめ映画を観ることにも似ています。
他者が抱いたイメージの中に
自分のイメージを見つける。
生活の中でぼやけてしまう自分、そして他者、もう会えない人の輪郭を確かめ、いつかの出来事を思い出させる、僕にとって大切な2つの映画です。
そして、これからの時間を大切に過ごせるように、改めて 2 人の映画をスクリ ーンで観たいと思います。
【プロフィール】
黒住 尚生 くろずみひさお
1993年生まれ、大阪府出身。2019年に主演作『されど青春の端くれ』がゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門グランプリを受賞し注目される。近年の主な出演作に映画『東京バタフライ』(20)『片袖の魚』(21)、大河ドラマ『青天を衝け』など。2022年は『愛ちゃん物語♡』『遠くへ,もっと遠くへ』『優しさのすべて』『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』『やまぶき』と公開作が続いた。今年の9月には『卍』の公開も控えている。
団塚唯我 だんづかゆいが
1998年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退。映画美学校フィクションコース22期修了。同校の修了制作として短編『愛をたむけるよ』(2020)を監督。ndjcにて、短編『遠くへいきたいわ』(2022)を監督。初長編を企画中。
福島慎太 ふくしましんた
1998年、千葉県生まれ。2018年度ENUBゼミナール演劇俳優コース入学。卒業後、『END ROLL』を制作。