メニュー 閉じる

2014.3.25.ECフィルムを見る 連続上映会6「ECフィルムからのパフォーマンス創造 Vol.1」

20世紀の映像百科事典
エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ(ECフィルム)を見る
連続上映会6「ECフィルムからのパフォーマンス創造 Vol.1」

本上映会シリーズは、20世紀を代表するこの壮大な映像アーカイブを今に生きる私たちの目線で読み直し、
虫干しして、多彩な分野の人々との対話を通して新しい息吹をふき込む試みである。
これらの映像の中に、私達の未来に必要な宝物を見つけられるかもしれない。
■日時:2014年3月25日(火)18:30 open/19:00 start
■ゲスト:ダンスユニット「双子の未亡人」、川瀬慈(映像人類学、国立民族学博物館)
■料金:予約1,500円/当日2,000円(ワンドリンク付) ※当日、ビデオカメラによる記録撮影を予定しています。ご了承ください。
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)Email :event@polepoletimes.jp
■共催:公益財団法人 下中記念財団(平凡社の創立者下中弥三郎を記念し、教 育・出版に関する助成を実施)、ポレポレタイムス社
■企画:第6回EC上映班/下中菜穂(暮らしの自由研究室)、丹羽朋子 (FENICS)、ポレポレタイムス社 
■協力:川瀬慈(国立民族学博物館)、岡田一男(東京シネマ新社)
〈プログラム〉
〈プログラム〉
●マルミズムシの一種 分泌物による身繕い(07’00)
●モモイロペリカン 共同漁労(06’30)
●オランウータン 地上での移動(09’00)
●アメリカダチョウ 走行(01’45)
●ハリモグラ 走行(01’45)
その他の生物学映像(上映プログラムは変更になる可能性があります)
●双子の未亡人(ヒト科)歩行 ほか

〈エンサイクロペディア・シネマトグラフィカとは?〉

1951年、ドイツ・国立科学映画研究所で、科学映像をめぐる一大計画が始まっ た。「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」(EC)と題す るこのプロ ジェクトは、世界中の知の記録の集積をめざした映像による百科事典。以後30年 近くの歳月を費やして数多くの研究者・カメラマンが世界 各地に赴き、現在は 失われた暮らしの技法や儀礼などの貴重な記録を含む、2000タイトル強の映像 アーカイブが制作された。ECはさらに各国機関 に渡り、日本でも1970年より下 中記念財団によって、アジアで唯一のフルセットの映像が管理・運用されてい る。だが21世紀現在、本家ドイツの ECプロジェクトは解散、日本でも16mmフィ ルムという記録媒体が障壁となり上映機会はほぼ途絶えていた。
〈本上映にあたり〉
短編映像のモザイクの海からさがす宝物
「食べる」「寝る」「子を産む」…さまざまな行動をテーマに、チンパンジーに 爬虫類、微生物から人間までを記録した生物学シリーズ。民族学分野で は「パ ン作り」だけで世界40地域のタイトルが並ぶ。提唱者G.ウォルフは、演出や解説、BGMを徹底的に避けて比較を可能にする体系的な映像モザイクを目指し、ECは20世紀の民族誌映画のひとつ の型を作った とも言われる。動物行動学の父コンラート・ローレンツ、EC愛好者から制作者に 転身した元テレビ修理工マンフレッド・クルーガーな ど、多彩な才能が結集し て培われた映像制作の手法は後に各国に伝授され、そこから山形国際ドキュメンタリー映画祭等でも活躍する映画監督が育ちつつあるという。ケータイの動画撮影、Youtube映像……あらゆる断片映像の波に溺れる私たちの日常。こんな時代だからこそ、映像記録の原点ともいえるこの映 像の百科事典が、新たな輝きを放つに違いない。今まさに、「客観」や「科学」の括りからECアーカイブを解き放ち、魅惑の標本箱の宝探しにくり出 そう。
〈連続上映会6ECフィルムからのパフォーマンス創造 Vol.1 〉
ECフィルムは、生物の行動の比較研究という目的のもと、撮影者の存在を明示せず、対象の徹底した観察に比重を置いた科学映像のアプローチを貫いてきた。 ECフィルムは世界各国で研究と教育に活用されて成果をあげ、民族誌映像をはじ めとする学術映像の様式に極めて大きな影響を与えてきた。 本企画では禁欲的 なまでの科学主義に特徴づけられるECフィルムと、ダンスパフォーマンスとの”対話”を行う。そこでは、科学映像という本来の ECフィルムの脈絡は溶解す る。ECフィルムは、鬼才ダンスユニット「双子の未亡人」の身体表現にインス ピレーションを与える母胎として生まれ変 わるのである。さあ、あなたもEC フィルムが解き放つ新たな輝きにふれよう。
〈ゲスト〉
双子の未亡人(ふたごのみぼうじん)
’03年より京都を拠点に活動する荻野ちよ、佐伯有香によるダンスユニット。
コンタクト・インプロヴィゼーションを基軸としたグループでの舞台作品から結婚式への出張パフォーマンスなど、多様なスタイルを併せ持つ。劇場、 野外、 ギャラリーなど、空間の特徴を生かした作品や、「親しみ深さ」に特化したライ ブパフォーマンスを繰り広げ、ダンスと人、空間を繋ぐ媒体として活動を展開。ダンスを通じ、幸福な旅を続けている。
☆川瀬慈(かわせいつし)
川瀬 慈(かわせ いつし)
国立民族学博物館助教。1977年、岐阜県生まれ。
エチオピアをはじめとするアフリカの音楽・芸能の人類学研究を軸に、
民族誌映画の制作に従事。近年は、王立中央アフリカ博物館、
ルートヴィヒ美術館、米国議会図書館、NETWERK, centre for contemporary art 等において
川瀬作品の特集上映が組まれた。
2014年の第6回恵比寿映像祭ではゲスト・プログラマーを務めるとともに
新作を含む複数の作品を出品。