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2009.12.25 徹の部屋Vol.5 野村喜和夫(詩)×齋藤徹(コントラバス)

徹の部屋 Vol.5の宵
■日時:2009年12月25日(金) 18:30open/19:30〜
■料金:前売 2,500円/当日3,000円+ワンオーダー
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)
       event@polepoletimes.jp

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「つばめ」と「空飛ぶ絨毯」
2008年、野村喜和夫さんとメキシコシティでの詩のフェスティバル
「POESIA EN VOZ ALTA」(詩を声高らかに)に出演しました。
ナポレオン三世が「メキシコ出兵」をし、マクシミリアンをメキシコ皇帝に擁立。
その彼が住んでいた所にある大変美しいカサ・デ・ラゴ(湖の家)の野外特設テント、
そこがフェスティバルの舞台でした。
世界各国からの詩人がさまざまな趣向で自作の詩を「声高らかに」
メキシコの夜空に響かせました。かなり長期間行われています。
その中の一夜、満員の聴衆が日本語の詩の朗読と
コントラバスの即興演奏にスタンディングで応えてくれました。とても嬉しかった。
スタッフ、聴衆ともに詩の朗読を日常の出来事として心から楽しんでいるのです。
インテリ風が集まる気取った会ではないのに感心しました。しかも入場無料です。
音響リハーサルの時、楽器を寝かせての演奏をしようと、
「楽器の下に敷く絨毯みたいなもの、ないかな?」とスタッフに頼むと、
怪訝な顔ひとつせずに「空を飛ぶヤツか?そうでないヤツか?」と
真顔で聞いてきました。こういうユーモアは実に嬉しいものでした。
メキシコの人たちはガイコツが好きです。死者の日を大事にしています。
詩を身近に感じていることと、ガイコツ好きはどこかで繋がっている気がします。
GNP(国民総生産)は低いけれど、GNH(国民総幸福度)は
世界的に非常に高いこととも繋がっているはずです。
詩を愛し、コトバを信じて、生と共に死を思い、人生を信じ、
幸せを実感する・・・消費立国ニホンが忘れてきたことばかりですね。
上記のメキシコとナポレオンの戦いの中、ラ・ゴロンドリーナ(つばめ)
という曲が生まれ、今なお第2の国歌のように親しまれているそうです。
捕虜になってフランスに連れて行かれた作者が、
故郷への思いをツバメに託すという品格のある歌詞す。
それが日本に入ってくると、全く趣の違う歌詞が付いてしまっています。
クリスマス商戦(何という戦いでしょう)のころ、
野村喜和夫さんをゲストに迎え、詩のこと、コトバのこと、
自分たちのコトバのことをちょっと立ち止まって考えてみる機会になったらな、
と思いました。

詩と音に誘われて、空飛ぶ絨毯がフワリとやってきて、
みんなを乗せて、東中野の夜空に!道案内はもちろんツバメ、
そんな宴を夢見ています。

野村喜和夫(のむら・きわお)http://www.kiwao.com/
戦後世代を代表する詩人のひとりとして現代詩の最先端を走りつづけるとともに、
小説・批評・翻訳・比較詩学研究などにも執筆の範囲を広げている。
その詩はフランスのPO&SIE誌をはじめ、数カ国語に翻訳紹介されている。
15冊の詩集、9冊の評論・エッセイ、その他多くの編著、翻訳、朗読CDを発表。
詩集『特性のない陽のもとに』(思潮社、1993)で第4回歴程新鋭賞、
『風の配分』(水声社、1999)で第30回高見順賞、
『ニューインスピレーション』(書肆山田、2003)で第21回現代詩花椿賞。
朗読パフォーマンスや異分野アーティストとのコラボレーションにも力を入れ、
「現代詩フェスティバル95詩の外出」「現代詩フェスティバル97ダンス/ポエジー」
「日欧現代詩フェスティバルin東京」「現代詩フェスティバル2007環太平洋へ」を
主導した。またロッテルダム国際詩祭をはじめとする海外の詩祭に招かれての朗読、
アイオワ大学国際創作プログラムへの参加など国際的にも活躍している。
齋藤徹 http://web.mac.com/travessia115/tetsu
1955 年10月27日東京生まれ。ダンス、舞踏、演劇、美術、映像、詩、書、邦楽
、雅楽、能楽、西洋クラシック音楽、現代音楽、アストルピアソラなどタンゴ、
ジャズ、即興音楽、韓国やアジアのシャーマニズムと深く関わってきている。
アジアとヨーロッパを繋ぐ「ユーラシアン・エコーズ」は
日本・韓国・シンガポールで実施、福岡アジア美術館の開館記念での
「オンバク・ヒタム」などプロデュースも行っている。
1994 年にはアヴィニオンの国際コントラバス祭に招かれ、
この頃から頻繁にヨーロッパに行き、
ミッシェル・ドネダ、バール・フィリップスらと演奏を展開している。
95年にはポーランド、ワルシャワで彫刻家マグダレーナ・アバカノヴィッチ展での
コラボレーションを行う。
2000年、2001年には神奈川フィルの委嘱で2つの二重協奏曲を作曲、演奏。
ダンス審査員、上智大学非常勤講師、障害者とのワークショップなども行っている。
リッチモンドやハワイでのコントラバス祭に招待されワークショップや演奏を行う。
2006年アラスカ、クロスサウンド現代音楽祭で特集される。
2007年個人レーベル「トラヴェシア」を創設。