20世紀の映像百科事典
エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ(ECフィルム)を見る
連続上映会11「子どもからの世界」
本上映会シリーズは、20世紀を代表するこの壮大な映像アーカイブを今に生きる私たちの目線で読み直し、
虫干しして、多彩な分野の人々との対話を通して新しい息吹をふき込む試みである。
これらの映像の中に、私達の未来に必要な宝物を見つけられるかもしれない。
■日時 :2015年12月8日(火)18:30開場/19:00開演
■ゲスト:齋藤紘良(さいとうこうりょう)しぜんの国保育園園長兼学童施設長/作曲家
分藤大翼(ぶんどうだいすけ)信州大学准教授/映像人類学
■予約:03-3227-1405 event@polepoletimes.jp(ポレポレタイムス社)
■料金:予約:1,500円/当日:2,000円(ワンドリンク付)
公益財団法人下中記念財団、ポレポレタイムス社 共催
〈上映プログラム〉
【ECフィルムより】
■中央アフリカ バヤカ・ピグミー族 与える 取る 分ける/1975-80年
■中央アフリカ バヤカ・ピグミー族 母子関係/1975年
■パプアニューギニア トリブリアンド人 3歳半の幼児と遊び仲間との相互関係/1984年
■南西アフリカ ヒンバ族 幼児と4歳の少女の遊びの発展/1985年
■南西アフリカ ヒンバ族 少女の1人遊びと幼児による完成/1985年
■ベネズエラ ヤノマミ族 少女の乳児の世話/1983年
【特別上映】
■バカ・ピグミーの子供たちによるエロチック・パフォーマンスなど(分藤大翼)
※昭和初期のモノクロ視聴覚教育映像も。お楽しみに!
〈連続上映会11「子どもからの世界」〉
人類の一生は、何万年の間、さしたる変化を感じません。子が生まれ、成長し、学び、家庭を持ち、伝え、老いて死ぬ。文化によって多少の相違はありますが、人生の本質は一貫しています。特に、子育ての本質はホモ・サピエンス以降変わっていないのではないでしょうか。「強く育ってほしい」という子育ての本質。私たち人類の、古くからの子育ての願いはこんな具合にシンプルなはずなのに、ついつい余計なこと考えているうちに、この願いを見失ってしまう。しかし、ECの映像を見ていると、見失う前のことを思い出します。そして、「ああ、そうだった、こんなだった。」と、何万年も前の、子育ての本質の生まれた瞬間が蘇ってくるのです。保育園という場で子どもに日々向き合う齋藤紘良さん、バカ・ピグミーたちが暮らす森をフィールドに研究する分藤大翼さんとともに貴重な映像資料から各所の民族の子育て観をのぞき、人類における子育ての本質を考えてみませんか。
〈ゲスト〉
齋藤紘良(さいとうこうりょう)
しぜんの国保育園園長兼学童施設長/作曲家
森の循環システム「里山文化」を体現するプログラムと、長期にわたりヨーロッパの福祉や文化を視察してきた経験をもとに、芸術と自然、そして食を基盤とした保育実践を行っている。映像番組への楽曲提供や様々な場所でのワークショップ、他ジャンルのアーティストとのコラボレーションを行う。子どもと大人を文化でつなぐレーベルsaitocnoやソロ活動、齋藤紘良&ミラージュ楽団などを主催、チルドレンミュージックバンドCOINNメンバー、季刊誌BALLADをプロデュース。
分藤大翼(ぶんどうだいすけ)
信州大学学術研究院総合人間科学系・准教授/映像人類学。
1996年よりカメルーン共和国の熱帯雨林地域に暮らすBaka(バカ)という狩猟採集民の調査研究を行っている。2002年より調査集落において記録映画の制作を開始。主な映像作品は『Wo a bele -もりのなか-』、『Jengi』、『jo joko』。主な共著は『フィールド映像術』、『commmons:schola vol.11 Traditional Music in Africa』。
〈エンサイクロペディア・シネマトグラフィカとは?〉
1951年、ドイツ・国立科学映画研究所で、科学映像をめぐる一大計画が始まっ た。「エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ」(EC)と題するこのプロ ジェクトは、世界中の知の記録の集積をめざした映像による百科事典。以後30年 近くの歳月を費やして数多くの研究者・カメラマンが世界 各地に赴き、現在は 失われた暮らしの技法や儀礼などの貴重な記録を含む、2000タイトル強の映像アーカイブが制作された。ECはさらに各国機関 に渡り、日本でも1970年より下 中記念財団によって、アジアで唯一のフルセットの映像が管理・運用されている。だが21世紀現在、本家ドイツの ECプロジェクトは解散、日本でも16mmフィルムという記録媒体が障壁となり上映機会はほぼ途絶えていた。
〈本上映にあたり〉
「食べる」「寝る」「子を産む」…さまざまな行動をテーマに、微生物から人間までを記録した生物学シリーズ。民族学分野では「パン作り」だけで世界40地域のタイトルが並ぶ。
提唱者G.ウォルフは、演出や解説、BGMを徹底的に避けて比較を可能にする映像スタイルを目指し、ECは20世紀の民族誌映画のひとつの型を作ったとも言われる。
ケータイ動画やYoutube……あらゆる断片映像の波に溺れる私たちの日常。こんな時代だからこそ、映像記録の原点ともいえるこの映像の百科事典が、新たな輝きを放つ。さあ魅惑の標本箱、ECアーカイブの宝探しにくり出そう。
■共催:公益財団法人 下中記念財団(平凡社の創立者下中弥三郎を記念し、教育・出版に関する助成を実施)、ポレポレタイムス社
■企画:EC上映班/下中菜穂(暮らしの自由研究室)、丹羽朋子 (FENICS)、ポレポレタイムス社
■協力:川瀬慈(国立民族学博物館)、岡田一男(東京シネマ新社)、NPO法人 FENICS
■デザイン:大橋祐介