メニュー 閉じる

2012.10.15.徹の部屋Vol.22「ありがとう!バールさん!」

徹の部屋Vol.22「ありがとう!バールさん!」
■日時:2012年10月15日(月)19:00 open/19:30 start
■出演:バール・フィリップス(コントラバス)、齋藤徹(コントラバス)
■料金:予約3,500円/当日4,000円(ワンドリンク付)
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)Email : event@polepoletimes.jp
■協力:EU-Japanフェスト日本委員会

・ ・・・・・・・・・・・・
照れくさいけど、そのまんまの気持ちですし、さらにはホームのポレポレ坐ですので素直にそう言っちまいました。
感謝することはたくさんあります。初来日の時の一言はいまでも鮮明に覚えています。
こう言われました。「テツさん、何言っているの?」
親代々ミュージシャンな場合は別ですが、だいたい「音楽好き」「ファン」から入って、
気がつくともう入り込んでしまって抜けられない、という場合が多いです。私もそうです。
日本で海外の音楽が好きになってしまうと、事情がさらに複雑になります。
「本場」のレコード、コンサート、批評、風土、思想、歴史、言語などを取り入れる必要がでてきます。その段階では、「ファン」です。
ファンだから悪いということではありません。好き、ファンということは、その音楽を聴取する能力が高いということでもあります。
ただ注意しなければいけないのは、「ファン」と「演奏家」は違います。
20年以上前のバールさん初来日は豊住芳三郎さんの尽力で実施されました。サブさんありがとうございました。
その頃の私はインプロファン、ベースファンの側面がかなり強かった。
そんな私にとってバールさんは憧れでした。誕生日が一緒だとわかってルンルンでした。
忘れもしません。幡ヶ谷の商店街を一緒に歩いていたとき、「私などはまだまだ始めたばかりでダメですが、
バールさんやヨーロッパのミュージシャンについて行けるように一生懸命がんばります。」と素直に言った時に先ほどの返事があったのです。
「テツさん、何言っているの?演奏する時は、特にインプロの時は、皆同格でしょ?初心者かどうかなんて関係な〜い。」
目から鱗が落ちました。日本でできる限りのヨーロッパインプロ情報を集め、追いついていこう、というのは、正にファンの考え方なのです。
この一言で、ファンと演奏家の違いに敏感になり、私は演奏家でいようと思いました。誰誰の奏法をやってみようとか、誰誰さんと演奏したいとか、の発想はキレイさっぱり無くなりました。
その後、ヨーロッパへ何回も呼んでもらったり、ミッシェルやニンも紹介してくれたり、ヨーロッパツアーで楽器を貸してくれたり、
なかんずく楽器を交換してくれたり(今日私が弾いている楽器がそうです。バールと命名しました。)いろいろなベースフェスでやっかいになったり、
家族が世話になったりです。本当に御世話になっています。
しかし、その発端になったのは実はその一言だったように思います。
ファンのままだったら、その後の展開はまったく違うものになっていたのではと思うのであります。 
ありがとう!バールさん。  (齋藤徹)
・ ・・・・・・・・・・・・
★バール・フィリップス(コントラバス)
1934年カリフォルニア生まれ。ニューヨークに進出、当時隆盛していたフリージャズ演奏を続ける。
60年代後半よりヨーロッパでの活動が増え(ジャン・ジュネとのコラボレーションもある。)
自らの音楽的指向と一致することから、1970年代よりフランス南東部プジョー・ビルに住む。
1000年前のSainte Philomene教会を発見、修復、管理し居住する。絵はがきやバッジも発行され、現在も観光客が訪れる。
その功績からフランス国籍取得を薦められるが、アメリカ国籍のまま。
The Trio、EMCレーベル最初期からのアーティストとしてヨーロッパのフリー・インプロウ゛ィゼーションでの中心的活躍を続けている。
ダンスとのコラボレーション、数多くのワークショップ、ロバート・クレイマー(映像作家)との数多くの共作があり、ISB(国際コントラバス協会)
の議長に選出され、クラシック、ジャズなどのジャンルを超え世界の
コントラバス界での尊敬を集めている。あふれるような人間的な魅力から彼の周りには
自然に多くの人々が集まり、その人々同士の出会い・繋がりがどんどんと広がっていく。
芸術的な成果だけでなくあらゆる方面で豊かな人間関係を築いていることは特筆すべきことだろう。
日本へは、演奏ばかりでなく、山形国際ドキュメンタリー映画際への招待、
阪神・淡路大震災チャリティなどで何回も来日をしている。齋藤徹とは初来日の時から
共演を重ね、世界各国でのコントラバス祭でも協力、お互いの楽器(gand&bernarde;)を交換、日本・ヨーロッパでのデュオ、
グループツアーなど、誕生日が同じ(10月27日)なこともあり友情が続いている。
阪神・淡路大震災の時はアクト神戸という運動のヨーロッパでの中心メンバーとして
チャリティーコンサート、日仏アーティストの交流などに尽力したことも忘れてはならない。
齋藤徹(コントラバス)
舞踊・演劇・美術・映像・詩・書・邦楽・雅楽・能楽・西洋クラシック音楽・
現代音楽・タンゴ・ジャズ・ヨーロッパ即興・韓国の文化・アジアのシャーマニズムなど
様々なジャンルと積極的に交流。ヨーロッパ、アジア、南北アメリカで演奏・CD制作。
コントラバスの国際フェスティバルにも数多く参加。
コントラバス音楽のための作曲・演奏・ワークショップを行う。
自主レーベルTravessia主宰。
tetsu22.gif